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会計というのは、数字合わせではありません。仕事を任せた人に会い、その功績を計るという行為から会計という言葉は生まれました。そして、その人に仕事を続けさせて良いのか、あるいは辞めてもらうのか、が決まります。会計は適材適所を実現する道具なのです。
企業の会計は「儲けます」という約束を守る経営者を見出しました。政府の会計を、公会計が扱います。公会計が税を預かる人の功績を分かるようにします。税を預けるに足る能力のある者を見出すことができれば、子供にツケがまわることはありません。税は有効に使われます。税を預けるに足る能力のある者を見出すことができなければ、子供にツケがまわります。税は悪事に使われます。
代表者を市民が選ぶ際の基本的な約束は、「代表なければ課税なし」です。多くの人がこの約束を、軽視したり、忘れてしまったり、あるいは知らずにいます。そして財政が分からなくなってしまいました。
市長の責任の及ぶ範囲の会計をすることで市長の財政運営能力を計り、細分化された事業の会計をすることでその事業の成果を計ります。市長が市民の期待に応えたのか、行政の細分化された事業が税に見合ったものなのか、その評価が可能になります。
1. 政府会計
政府の責任者が主権者に対して提供する会計情報を扱うのが公会計です。主権者の課税権の行使は、税の運用を委ねる者を投票に選ぶことでおこなわれます。現在は、投票をする機会のない子供にもツケをまわした財政運営が続いています。
投票で選ばれる代表者に税を運用する権力は与えられます。しかし、税を運用する能力が与えられるわけではありません。代表者は、自らおこなった税の運用が主権者の期待に応えるものであったことを説明しなければならなりません。税の運用結果を明らかにするのです。
こうすることで、主権者は「子供にツケをまわさない!」人を見出すことが可能になります。有用な公会計の情報は、主権者の投票行動に影響を与えます。この講座では、公会計が提供すべき会計情報をご紹介します。
2. 環境会計
自然環境は継承財です。次の世代に私たちが継承したのと同じ状態で継承することが求められます。「子供にツケをまわさない!」ことが重要です。
自然環境の破壊が誰の目にも明らかになりました。環境再生は社会の要請になりました。しかし、多くの人が望んでいるからといって、それが行政の仕事になるわけではありません。環境再生も成果をあげる人に任せてこそ、うまくいくのです。自然環境が継承財であることが明らかになると、環境再生に長じた人はその仕事を生業にすることができます。その仕事を評価し利用することで、次の世代に「子供にツケをまわさない!」することが可能になります。
この講義では、環境再生の能力を生き物に聞く”kikyo”という単位により評価する方法を紹介しながら、成果の説明と発生したコストとその負担を開示法を講義します。
主な著作:
『高速道路はタダになる!』(山崎養世氏と共著)新風舎 2004年
『新公会計制度のためのー複式簿記入門』学陽書房 2008年
『公会計の理論 税をコントロールする公会計 増補改訂版』東洋経済新報社 2009年
※第32回 日本公認会計士協会学術賞受賞
『環境会計の理論 kikyo:生き物に聞く生物多様性の尺度』東洋経済新報社 2011年